読書感想文3「小農はなぜ強いか」

著者:守田士郎

 

「組織というものは、比較的狭い範囲の目的のために意見が一致した人が作ったものなのです。だが、部落は意見が一致したからできているというものではありませんね。

それは、部落が生活と生産を行う場所だからなのだと思うのです。意見が一致してもしなくても、そこで暮らしそこで田畑を耕さねばならいないという農家お互いの間には、都会のアパートのような生活だけの場所にはない約束事が必要だし、それが守られることが必要なのだと思うのです。そして、その約束ごとには、してはいけないこともきめられているが、こういうことをしようということもきめられる。その両面があるわけです。そういう2つの面の約束ごとは寄合いで決議されたり紙に書かれたりしてできるものとも限らないわけです。暗黙のうちに、いつのまにか作られているといった場合もあるわけです。だから、部落はあるのかないのかわからないようにもみえます。」

 

1975年に初版された本です。「部落」という言葉は「村」に変えてしまってもいいような、よくないような。