読書感想文17「麒麟」(胸に7つの傷を持つ男)

ずっと読んでみたかった本です。作者は谷崎潤一郎。2次元ドリームマガジンの源流みたいな人です。

 

 

以下参照です。

鳳や。鳳や。何ぞ徳の衰えたるや。往く者は諫むべからず。来たる者は猶(なお)追うべし。已みなん。已みなん。今の政に従う者は殆(あや)うし。

「鳳よ。高貴な鳥である鳳のように高貴なあなたよ、なぜこのように威光が衰えたのか。過去は是正できないが、未来はできる。やめた、やめた。今の政治家になるのは、あぶないぞ。」

(初手に狂人接與の孔子に対するちゃちゃ。接與さんはネームド隠者・狂人。孔子先生の生きた時代は、いわゆる乱世。当然、いくら理想に燃えていても、政治に関われば命の保証はない。

 そのような時代に、政治とは距離を置いて、自分の教養を自分のために生かして、賢く?生きる人が隠者・狂人という人。(役人になりたくないから、狂ったふりをした様子)

 正直な話、この隠者が孔子先生を攻撃する気持ちはとてもよく理解できる。ブクマ家やってるときとかフルパワーで隠者やってる気がする。俺は物知りだー!知識を生かすのじゃあー!頑張ってる人が憎いんだー!

 

 そして、この物語はある意味、隠者・狂人のちゃちゃが勝利する物語。)

 

 

「妾(わたし)は世の中の不思議なもの、珍しいもの集めている。妾の廩(くら)には大屈の金もある。垂棘(すいきょく)の玉もある。妾の庭にはル句の亀もいる。崑崙の鶴もいる。けれども妾(わたし)はまだ、聖人の生まれた時に現れた麒麟と云うものを見たことがない。また、聖人の胸にあると云う、七つの孔(あな)を見たことがない。先生がまことの聖人であるならば、妾(わたし)にそれを見せてくれまいか?」

(妖艶なる南子(衛の国を堕落させている張本人。その顔は妲己に、その目はホウジに似ていると言われる。妲己は有名傾国の美女。ホウジも美女。☆笑わない女☆)が孔子に対して言った言葉。孔子ケンシロウみたいにして見せた。ハアーー)

 

 

私は谷崎潤一郎という人に対して、評価するセンサーが狂った時代に生きてるように感じました。「背徳のエロス」みたいな感じはしなかった。