読書感想文18「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」(ネームド喫煙者)

私は、ある物事や、事件、人物を歴史的に評価するのが好きなのです。

例えば、安倍晋三は歴史に残ると思います。本人の望まない形で。

例えば、首相のテロ事件なども、過去の事件と比べて考えたりするのが好きです。

今回の本は、インタビューみたいな内容なのですが、歴史にその名声が永遠に残ると思う人です。中村哲さんです。

 

 

以下参照です。

「旅役者だの、テキ屋だの、いろいろ泊まっていましたね。ドサ周りの、売れない旅役者の集団ですから、十数名いるわけです。タダで泊めてもらっては申し訳ないというので、せめて薪割りでもさせてくれというけれども、薪(まき)がない。しかし、彼らが帰ったあと、きれいな薪の山ができているんです。それから何日かして、近所から苦情がきまして、「お宅に泊まっていたお客さんが、家の板塀を壊した」と(笑)。」

中村哲さんは北九州、遠賀川周辺の「川筋」の人。家には居候がつねにいた様子。)

 

 

「(毒入りギョウザがさかんに報道されている状況を踏まえて、)私が素直に中国を非難できなかったのは、ギョウザぐらい自分でつくったらいいのに、ギョウザもできないのかと(笑)。

 聞いたら、小麦粉も十三パーセントしかつくっていないと……。因果応報というやつですよ。自分の手を汚し、汗を流してつくったものがまっとうでしょう。人の労働を安く買って、それで食っているということの報いですよ。」

(この本は、7割ぐらいが日本人の悪口で構成されています。しかし、だいたいが中村さんが正しい。)

 

 

「心やすらかです。おひさまと一緒に起きて、働けるときまで働いて、そして「ああ、きょうも一日がおわったな。」と。明日の予定を立てて、もう八時頃には寝るんですね。その毎日ですが、やっぱり自然のリズムで、汗を流して働くというのは、非常に健康で、心身ともにさわやかな感じがします。」

西郷隆盛は、”文”を興隆させ、”武”を実践し、”農”を振興する。政治はこの3つが優先されると説いていた。この”農”は「経済」とか「GDP」みたいなものに解釈されるのですが、そのまんま”農”で解釈するのも、あながち間違いではない気がする。)

 

 

「(ある山岳地帯の移動中に、中村医師は落馬しかけて、宙吊り状態になった。なんとか馬を止めて、同行の兵士が笑いをこらえて歌った。)

 「我が勇敢なる司令官殿は、/死ぬ目に遭っても煙草は手から離さない/片手に

  煙草、片手に音楽/死すとも変わらぬこの勇姿」

大笑いの渦になって、笑いすぎて腹痛を起こして路傍にうずくまるものが続出した。(BGMトルコ行進曲)」

 

 

「ナンガラハル州のシュルザイ知事はドクターサーブ(中村医師)自分の肩に担ぎ、カカ・ムラー(注:「中村おじさん」カカ=おじさんの意)の名を授けました。ドクター中村はお返しに知事を自分の肩に担ごうとしましたが、これは皆が止めました。」

(楽しそう。この文章はアフガニスタンの人が書いた文章。言葉はつたないが中村医師への尊敬の念があふれている。)

 

 

中村医師は、ホープ・セブンスターを好んでいたようです。

きつい煙草が似合う男です。