読書感想文7「あなたは正しい」

最近、本屋さんで、韓国で売れている本のコーナーを見るのがマイブームなのですが、タイトルに惹かれて読んでみました。(日本の本と違ってあっさりした表紙の本が多いですね。)著者は韓国の女性の精神科医のようです。

 

私は「本の要所を書いて、そこにコメントする」みたいなスタイルで感想を書くのですが、この本自体はなかなかのボリュームで、さまざまな事例が載っています。著者の言いたいことは明快だと思うのですが、やはり人の心というのはとても複雑だと思います。ある結論があったとしても、そこにたどり着くには適切なルートや手順があるのだと思います。

ごちゃごちゃ書きましたが、乱暴な言い方をすると、「思うがままに、やりたいことをやろう!」(ベルセルク使徒か?)みたいに解釈するのは、良くない気がします。それでは始めます。

 

 

「スターが最高に輝く瞬間は、自分を大衆に完璧に合わせた時である。それは私が完全に「大衆の欲望そのもの」である時、私が「私」を主張しないと時、「私」が消え去った時である。(中略)「本当の私」になろうとしたら、スターの資格は没収される。」

「そのような面において、スターの生き方は私たちの生活の完全な縮小版なのである。日常生活において誰かからの期待や欲求に合わせて絶えず私という存在を押し殺しているのは私たちも同様であり、自己消滅のがけっぷちに立たされてSOSを送る生活を送っているところも同じだ。」

(すごい文章だと思った。現代社会そのもの。みんな何かを演じている。カンダー!)

 

 

「罪意識と無力感は、一見すると自分を疲弊させるやっかいな感情のようにも思えるが、そうではない。有史以来、罪意識と無力感に根差した市民の連帯は、社会を動かす大きな力となってきた。私たちの中にあるすべての感情は、人生の航路を指し示す羅針盤だ。」

(共感を生み出すんですかねー。) 

 

 

「本当の自分の中にある感情や考えを表に出すたびに、否定されたり無視されたりしてきた人の人生は、バッテリー残量が3%しかない携帯電話と似ている。今にも息切れがしそうだ。自己消滅に対する恐怖と不安にさいなまれた人は、電池切れへの抵抗に手段を選ばない。必死に自分の存在を証明しようとするだろう。(中略)瞬時にすべてを燃やし、灰と化す末路は哀れである。」

 

 

「人は誰でも傷ついた存在だ。自分を守れてこそ、誰かを助けることができる。それ以外に助かる道はない。もし、専門の共感者になりたくて、そのためにはどんな資質が必要なのかを私に問う人がいたら、私は「自分自身を守ることに敏感であること」と答えるだろう。」

(とりあえず離れる。とりあえず帰る。とりあえず辞める。)

 

 

「(Aさんは破壊的な上司に対して、最初は避けていたが、限界を感じて、逆に上司の趣味の登山に付き合ってみたしかし良好な関係は築けなかった。)Aのやり方とまったく逆のことをするというのが、私の答えだ。「他者」が「私」をはっきりと意識できるようにするのだ。「あなた(上司)」もいるが「私」もいるという関係を築いてこそ、解決のきっかけをつかむことができる。それは、無謀で危険なことだろうか。そうであるかもしれないが、それだけが唯一の根本的な方法である。」

(一方通行の関係って絶対に破綻するよね。)

 

 

「感情は、判断や評価、コントロールの対象ではない。「私という存在」の状態についての、自然なシグナルである。よい感情であろうが、否定的な感情であろうが、「私の感情」は常に正しいのだ。」

 

 

上司から、「忙しいとか言っちゃいけない。」みたいなことを言われたことがあるのですが、そんな時に「私」に言ってあげたかったですね。

「あなたは忙しい。あなたの感情は正しい。」